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緒方洪庵の言葉

其の一 医者が(人間でもあるが)医者の務めとして医業を行うのであれば、それは生活のためではなく、愚かな「医者と名乗っているだけの自分」のところへ、同じ人間が患者として、他に頼るすべがなく仕方なくやって来たのだと、心底わからなければならない。

医業とは利他のために行うのであり、利己のために行うものではない。それを本当にわからなければ、中途半端になり、皆に迷惑をかけるだけである。

楽な方向に流されず、巧名を得ることなど微塵も思わず、ただひたすらに利他のために尽くすのが本来の医業の道である。分別をわきまえ、ただひたすらに病に苦しむ人々の病苦を治し、その苦境を脱する手助けをすること以外にはそれ以上でも以下でもない。


其の二 ひとたび患者やその家族と向き合ったならば、一心不乱に患者の利益になることに心を尽くすべきである。患者の社会的背景などは考慮するにしても、貧富の別なく、全く同様に、依怙贔屓などはせずに、ひたすらに患者に尽くすべきである。

現代は貧富の差が広がる格差社会であるが、その格差を利用してたまたま富を手に入れた患者と、格差社会の不合理に苦しむ患者の魂の叫びとその心に現れるありがたいという気持ちのこもった涙を見るにつけ、後者の言葉の無い涙に心が動かされないはずがないであろうし、あってはならない。


其の三 治療を行うに当たっては患者のことを必ず中心に考えて行動するべきである。患者がいつも中心であり、患者の同意なしに変わった治療や治験などを行うのはもっての他である。

人間は生まれ育ちによっていろいろな先入観や風習が身についてしまうものであるが、こと医業に当たっては、自分の意見に固執したり、配慮を欠いた治療を無秩序に行うのではなく、極めて慎重に、今できる自分の最大限の努力を惜しまずに患者をよく診たてて診療を行うべきである。


以上、現代的に意訳したのが上記です。このほかにも有りますが、これは一部抜粋です。引用元 「扶氏医戒之略」を現代語におきかえて




| 19:57 | 未分類
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